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麹菌はこんなにすごい!発酵食品の為に生まれたとしか思えない?

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健康科学

こんにちは。
発酵学研究者が語る健康とエビデンス管理人の勝瀬です。
今回は黄麹菌がどれだけ特別な菌で、それがどれだけ役に立っているかというお話をします。

麹菌は沢山の優れた特徴を持つ?

酵素を大量に作る事ができる

一つ目は糖を分解するアミラーゼなどを大量に生産するという事です。
その為麴を生産するのにかかる時間が非常に短く、2-3日で完成してしまいます。
これは他の生物と比べて驚異的な早さです。
この酵素を大量に分泌する。そして安全性が世界的に認められている。という2点から麹菌は医薬品などの生産への利用も期待されています。
医薬品としても用いられている酵素を麹菌で生産できれば大量に、安全に生産出来る為です。

発酵食品を作る際にもこの特徴は大変優れています。
麹菌を使った発酵食品、例えば甘酒や味噌、醤油などがあんなにも豊かな風味がするのはこの特徴のお陰と言えます。

1つの細胞に多数の核を持つ

2つ目は多核であるという事です。
通常生き物は1つの細胞に1つの核というものを持っています。
核にはその生物のDNAなどが含まれているのですが、麹菌は1つの細胞にいくつもの核を持ちます。
核が1つである微生物は成長途中や、子孫を残す際にDNAに変異が入ってしまい100年などの長い期間で見ると違った性質を持った微生物となってしまう、という事があります。
その点、麹菌は多数の核を持っていますので他の生物と比べて格段に安定しています。
私達は100年前と変わらぬ味を楽しむことが出来るのです。

味が変わらないだけならば大した事がないと考える方もいるかもしれませんが、生物というものは長い間をかけて他の生物への毒性を獲得するものもあります。
そういった危険性が低く長い間安全に使用できる菌であると考えればこの特徴がどれだけ優れているものなのか、想像できませんか?

DNAや核について分からない方は以下の記事を読んでみてください。

他の生物にない特別な構造を持つ

3つ目が麹菌はウォロニン小体という特別な構造を持つという事です。
麹菌は糸状の生物なので、ちぎれやすいといった特徴を持っています。
外国で発酵に用いられているカビの一種であるクモノスカビは麹菌と違いウォロニン小体を持っていない為簡単にちぎれて死んでしまいます
しかし麹菌はウォロニン小体と呼ばれる特別な構造を持っており、ちぎれても今まで通り生育することが出来ます。
その為、麹菌は麹を作製する際にバラバラにかき混ぜても大丈夫なんです。
バラバラに混ぜることが出来る為に日本の麹は生産速度が早く、更に品質が一定となっています。
ウォロニン小体のお陰で私達は素晴らしい発酵技術を得ることが出来たという訳ですね。
ウォロニン小体について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

明所で胞子形成が抑制される

4つ目が明所で胞子が作られないという事です。
カビは胞子を作って増殖します。
麹菌の近縁種であるアスペルギルス・ニドランスは麹菌とは逆で、明所で胞子を作り、暗所では作らないといった特徴を持っています。
自然界でのカビにとっての暗所は土の中です。
その為暗いとき(土の中)は胞子を作らず、明るいとき(地表)に胞子を作り子孫を増やすといった方が合理的なのですが、麹菌は反対の特徴を持っています。
しかし、これが発酵食品を作る際に重要なのです。

胞子は何とも言えない苦みといいますか、えぐみといいますか到底食品には使えないような味がします。
その為発酵食品を作る際には胞子を作らせない方が都合がいいのです。
そこで明所で胞子を作らないといった特徴が生きてきます。
麹を作っている部屋を見たことがある人はご存じかもしれませんが、胞子をつけさせないために常に明かりをつけています。
もし暗所で胞子を作らないといった特徴であれば作業をする際も常に暗いままやらなければなりません。
人が作業する際もあるのでとても便利な特徴ですね。

以上、麹菌がいかに発酵食品を作製する菌として優れているかという記事でした。
世界中を探してもこんなにも発酵食品に向いている菌は存在しません。
麹菌が唯一存在する日本に生まれたこと感謝しなければなりませんね。

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